平成21年度改訂事業計画書

(平成21年4月1日から平成22年3月31日まで)

T.研究助成事業

  主事業である研究助成事業については、大学、工業高等専門学校、研究機関(独立行政法人を含む)、関係団体等に広く公募し、研究者からの積極的な応募を促す。また、引続き若手研究者の基礎的研究を支援する為の助成枠を設定する。研究助成事業の概要を以下に示す。

1.募集期間
  2009年4月1日から5月31日までの2カ月間。

2.応募資格
 (1)一般研究助成:原則として日本国内にある組織に所属する研究者。
 (2)若手研究助成:日本国内にある組織に所属する研究者で、平成21年4月1日現在満年齢35歳(2年目の継続申請の場合は36歳)以下の者。
 なお、応募は一人一件とする。

3.助成の対象となる研究
 一般研究助成、若手研究助成とも、鉄鋼製造に関連する環境保全技術課題に関する研究を助成対象とする。具体的な技術課題例については、4.に、また、この中で特に関心のある技術課題については、5.に示す。なお、若手研究助成については、より基礎的な研究についても助成対象とする。

4.環境保全技術課題の具体例
(1)大気環境保全技術
@ 大気環境対策技術の省エネルギ−化、低コスト化及び高効率化
A 固定発生源起源の浮遊粒子状物質(SPM)及び微小粒子状物質(PM2.5)
B ダイオキシン類等非意図的生成物の測定分析法、発生抑制技術及び防除技術
C ニッケル化合物及び水銀の測定分析法、発生抑制技術及び防除技術
D 発展途上国に適用可能な簡易又は安価な排ガス処理技術
(2)水質保全技術
@ 水処理技術の省エネルギ−化、低コスト化及び高効率化術
A 亜鉛等重金属の生態・生体影響評価及び除去・回収技術
B 土壌汚染に関する測定技術、影響評価手法及び汚染土壌浄化技術
C アンモニア性窒素及び硝酸性・亜硝酸性窒素の除去・回収技術
D 閉鎖性海域の汚染メカニズム及び浄化技術
E 発展途上国に適用可能な簡易又は安価な排水処理技術  
(3)副産物の利用促進技術
@ 鉄鋼スラグ(高炉スラグ、転炉スラグ、電気炉スラグ等)の高付加価値化及び利用技術
A 鉄鋼ダスト、鉄鋼スラッジ、鉄鋼スラグ等からの鉄、ニッケル、亜鉛、りん等の有価金属の濃縮・分離・回収技術
B 鉄鋼スラグの海域利用等における環境創造・環境影響評価
C 鉄鋼発生物の減量化、減容化及び再利用技術
(4)地球環境問題
@ 地球温暖化メカニズム
A 越境汚染問題
B 鉄鋼製造プロセスにおける廃エネルギー・新エネルギー利用等抜本的な二酸化炭素排出削減技術
C 鉄鋼副生ガス等からの水素製造技術
D 二酸化炭素分離・固定化・隔離技術
(5)エコプロセス
@ 環境汚染物質の発生を抑制・極小化する鉄鋼製造関連技術
A 鉄鋼製造プロセスにおける廃棄物利用技術
B 循環型社会の構築やエココンビナートの実現に資する鉄鋼関連技術及び産業間連携技術
C リサイクル進展に伴う不要・有害成分濃縮への対応技術

5.特に関心のある技術課題
上記技術課題の中で、現在、鉄鋼関連で特に関心があるのは以下の課題である。
(1) 固定発生源起源の浮遊粒子状物質(SPM)及び微小粒子状物質(PM2.5)
(2) ニッケル化合物及び水銀の測定分析法、発生抑制技術及び防除技術
(3) 亜鉛等重金属の生態・生体影響評価及び除去・回収技術
(4) 土壌汚染に関する測定技術、影響評価手法及び汚染土壌浄化技術
(5) 鉄鋼スラグ(高炉スラグ、転炉スラグ、電気炉スラグ等)の高付加価値化及び利用技術
(6) 鉄鋼スラグの海域利用等における環境創造・環境影響評価
(7) 鉄鋼製造プロセスにおける廃エネルギー・新エネルギー利用等抜本的な二酸化炭素排出削減技術
(8) 二酸化炭素分離・固定化・隔離技術

6.助成件数
(1) 一般研究助成:40件程度を目処とする。
(2) 若手研究助成:15件程度を目処とする。

7.助成金額
(1) 総額75,000千円とする。
(2) 一般研究助成:原則として1件当たり150万円/年以下とする。
ただし、3年目の継続研究は、原則として1件当り100万円/年以下とする。
(3) 若手研究助成:原則として1件当たり100万円/年以下とする。

8.助成研究の選考
本財団に設置している技術委員会の選考結果に基づき、10月下旬頃の理事会で決定する。

9.
助成研究者との技術交流会及び技術討論会の開催
(1) 技術交流会
 助成研究の初期段階において、助成研究者の研究現場を鉄鋼技術者が訪問し、研究課題や研究の進め方等の議論を行い、技術交流を深める。
(2) 研究討論会
 助成研究が進んだ段階で、助成研究者を招待し、研究成果・今後の研究課題について鉄鋼技術者と討論する。
(3) 製鉄所見学会の開催
 鉄鋼業に対する助成研究者の理解を深めていただくことを目的に、前年度の助成研究者を対象に製鉄所見学会を開催する。

10.表彰制度の創設
  助成研究のさらなる充実、助成研究者へのインセンティブ向上を目的に、表彰制度の創設を検討する。

11.大規模研究助成の実施
 鉄鋼業の抱える環境問題のうち、「鉄鋼スラグ製品の環境配慮型有効利用技術に対する研究」を前年度に引続き大規模研究助成事業の対象とする。
  予算枠については、助成金総額は前年度比500万円増の1500万円とし、詳細計画については次回の理事会にて審議することとする。

12.助成研究成果の普及・広報
(1) 成果報告書の発行
 助成研究成果の普及を図るため、関係個所への研究成果概要集の印刷配付、JST((独)科学技術振興機構)及びGeNii((財)助成財団センター)への登録を行うとともに、研究成果報告書(要旨・概要書・成果報告書)については本財団の研究成果報告書データベースFERAS(本財団のホームページからアクセス可能)に登録し、一般公開する。

(2) 成果報告会の開催
 本財団の活動成果をより広く活用していただくため、注目される助成研究による公開の成果報告会を企画する。

(3) 鉄鋼環境基金ニュースの発行
 当財団の活動を広くPRするため、年2回「鉄鋼環境基金ニュース」を発行し、ホームページに掲載する。

U.調査・研究事業

 調査・研究事業については、本財団の主事業である研究助成事業に資するため、鉄鋼製造に関わる環境保全技術上の諸課題を踏まえ、広く知見の収集・調査・研究を行う。

以上

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